![]() | アンテナ スペシャル・エディション (2004/07/23) 加瀬亮小林明実 商品詳細を見る |
2003
監督 熊切和嘉
いわゆるイケメン俳優のイメージだった人が、ここまでの演技をしていたとわ!と思った作品です。といっても、他に加瀬亮が出ている作品を観てないんですけどね。けどほんと、なんとなく、なんとなーく勝手なイメージを持っていた。これを観るまでは。 
幼い頃に失踪した妹、マリエ。その横で寝ていたユウイチロウ(加瀬亮)は、隣に寝ていたにも関わらず、気づいた事も覚えている事も何もない。そのハズだった。けど、何かを見た気がする。けどわからない。何も覚えていない。けど実家に帰ってきたことで、当時の部屋のいろんな部分を見ることで、フラッシュバックのように何かがよぎる。自分は何かを見たのかもしれない。何かを知っていたのかもしれない。その一瞬浮かぶ記憶は、とても短くて、とても断片的で、とても説明できるような状態ではなくて、本人にもどうしようもない。
母が弟(ユウヤ)を妊娠中にマリエが失踪。まもなく生まれたユウヤは、自分はマリエの生まれ変わりなのか、そう生きるべきなのか、母はそれを望んでいるんじゃないか、自分もそうしたいんじゃないか、そうすることが、マリエが居なくなってから時が止まってしまった家族の為になるんじゃないか。
彼の頭の中のアンテナが、マリエが帰ってきたと感じる。マリエが帰ってくると彼は発作を起こす。そして入院。
以上が、作品が始まって約1時間くらいの時点です。
あまりにも暗く、絶望的で、解決の糸も全くみえなくて、出口がなくて、「これってどうやって終わるんだろう。どうやってこの作品をまとめるんだろう。」などと、あまりにもの救いようのない状況に、他の作品を観ててもあまり考えないことをぼんやり思ってしまったり。
とある事情で知り合った女王様が勤めるSMクラブなんですね。で、奥の袋にはユウイチロウが入ってるんですね。で、グラグラしてるんですね。完全に客にバレるだろうってくらい動いてるんですね。
彼は中で発狂してたのです。
この時の女王様が、後々、彼にとっては精神科の先生になるわけです。カウンセラーです。
ものすごい方法で、彼は治療されていくわけです。荒療治です。
今まで押し殺してきた、無意識に封印してしまった過去の記憶を、思い出し、吐き出し、そして開放される。
だからといって、状況はすぐには変わらない。マリエは戻らない。母もマリエを待つことを辞めない。弟の病気もそう簡単には治らない。
けど、彼一人が変わるだけでも、彼の心持が変わるだけでも、何かが変わると思う。家が、家の中の空気が、ほんの少しかもしれないけれど、動くかもしれない。それはすごく些細で、本当に少しづつなんだけど、その少しづつが重なって、何ヶ月、何年後かには、家族を変えられるかもしれない。
ラスト、エンドロールに入った瞬間「ぇええー!(ここで終わりということに)」となってしまったわけだけど、やっぱりそうなってしまったわけだけど、けど、この家族は、先にも書いたように、すこーしつづだけど、3歩進んでは2歩下がるかもしれないけれど、いや、1歩半進んでは1歩下がるかもしれないけれど、なんとか未来への光が見えて来たんだな。きっとそうなんだな。
そう思わせるラスト。
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